石川誠二の診断士日記

中小企業診断士の雑記帳です

ものづくりIoTと4M管理(4)

4M管理について説明をしていきたいと思います。

4MとはMan(人)、Materials(材料)、Machine(機械)、Method(方法)だと既に書いてきましたが、それを管理することの意味から纏めていきたいと思います。

 特に中小のものづくり企業では、経営者の方とかベテランの方がなんでも知っていて、手順書とか部品のリストとか見ないでもさっと作り上げてしまうかもしれません。それはそれで手早いでしょうし、余分な書類がなくて効率的なのかもしれません。しかし、さて事業承継を考えようかな、とか、ベテランさんにいつまでも頼れないから新人を教育しないと、と考える場合、ものを作るのに必要な様々な知識はみんなが分かるようにしておいた方が良いですよね。またお客様からクレームがあったとき、作ったときの記録がなくて、たしかこれとこれをつかってこういう方法でやったといっています、といった作業した人の記憶に基づいた回答だと、問い合わせた方は記録も残ってないのかい、ってことになってしまいます。

 そこで、ものづくりに関わる要素を皆が分かるようにリストアップして管理しておこうというのが4M管理です。この4つに分類しているのは、リストアップする際に、この4つに注目しておけば、重複や抜け漏れが防げるんじゃないかな、というリストアップする際の指針だと思えばよいと思います。

 この4M管理はITとかIoTが登場する前から、その重要性が言われていたわけですが、単に項目をリストアップするだけでなく、各々の項目にその来歴や変更を加えた内容、時期などを纏めて記載しておきます。材料に関する項目にはその使用量や購入した際のロット番号なども記載しておきます。

 たとえば、機械に関しては、多くの会社では固定資産税のこともあって設備管理台帳として購入年、購入価格、購入先、設備メーカー、型式などを管理していると思います。これはそのまま4M管理のうちのMachine(機械)管理になります。

 ただものづくりの現場としては、いつメンテナンスしたか、とか加工精度とか生産能力のような機械の性能に関するものも併せて記載した方が便利でしょう。また取り扱いに特定の資格や研修が必要な設備もあるでしょうから、そういうことも記載しておかないと、後から重大な事故が起こってしまうかもしれません。

 このように4M管理というのは、その会社ごと、職場ごとにリストアップすべき項目は少しづつ変わってきます。ですから仕事の内容に詳しい方がリストアップしないと漏れが生じることがあります。

 4M管理では来歴や変更を加えた内容も記載するとしましたが、これは、

ものづくりIoTと4M管理(2) - 石川誠二の診断士日記

で書いたように「決まり事を定め、それを守って」作っていますよ、という証拠として管理する意味合いもあります。取引先から指定された材料、加工法を守っている、あるいは自社として品質を担保するためにこういう加工法を取っている、といった記録を残しておく必要があります。こうした場合は、4Mの項目ごとだけではなく、製品ごとあるいはロットごとに使用した材料や機械などを記録しなければなりません。

 また、工程の改善や製品品質の向上を図る際、現状の工程の様子を知りたくなる場合もあります。そのときロットごとに材料の種類、使用量やら使用した機械および機械の設定条件などが記録されていれば、それをもとにあれこれ考えて改善を図っていくこともできるでしょう。

 もちろん、変更を加えたならば、それは変更点として記録しておく必要があります。世に出る製品事故のうち少なからぬ割合がこうした4Mの変更に関わるものです。どこからどこまでが問題となった材料、加工方法が適用された製品なのか、きちんと記録を示せない場合は、じゃあ全部回収してください、ということになります。

 次回、この変更点の管理に関して纏めてみたいと思います。