石川誠二の診断士日記

中小企業診断士の雑記帳です

ものづくりIoTと4M管理(2)

ものづくりIoTと4M管理の話を進めるにあたって、まず「ものづくり」って何なのか、少し考えてみたいと思います。そもそも「ものづくり」の定義が学問的にしっかりされているのか、また定義に関して議論がなされてきたのか浅学な私は存じません。また、これだけ時代が早く移り行く中で、いまさら「ものづくり」って定義する価値があるのか、という意見もあるかもしれません。前回述べたように、もう「モノづくり」の時代であって「ものづくり」の時代じゃないよ、という識者も多数おられます。

 それだけに、「ものづくり」と一言語った場合に感じる事柄が人によってばらけているかもしれません。そこで、学問的な正確さ云々ではなく、本稿を進めていく上で読み手の方々と私の間で共通の理解をもつ言葉として、「ものづくり」を定義しておきたいと思います。

 ここでは、ものづくりとは

 決まり事を定め、それを守って繰り返しつくること

 と定めたいと思います。

決められたこととは、作り出すものの仕様や機能の他、お客様との間では品質(Quality)、価格(Cost)、納期(Delivery)があります。この品質、価格、納期はQCDとまとめて記されてものづくりの上で大切な要素とされています。

 また、ものを作っている際にも工場内部で守るべき決まりごとがあります。それがタイトルにある4Mで、人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、方法(Method)です。これらは決められたとおりに作らないと思わぬ品質不良を招いたり、品質云々の前に約束した機能すら満たさないということにもなりかねません。また少しでも安く早く作ろうとすると、この4Mをうまく管理しなければなりません。また場合によっては4Mに関する決めごとを見直したほうが良いときもあるでしょう。4Mに関する決めごとを見直す場合は、お客様に承認いただく、職場の責任者に承認してもらうといった「決まりごと」を守らなければなりません。

 ところで一品生産の場合は「繰り返しつくる」という定義の仕方は不適切ではないのか、と思われるかもしれません。しかし、一品、一品お客様と仕様など決まり事を定めるという作業があって、それを守りながら作る、ということで解釈頂けると思います。

 一方で、意匠性の高い作品を作り手側が考案しながら一品づつ製作する場合、この「ものづくり」の定義は当てはまらなくなっていきます。例えば葛飾北斎は職人か芸術家か、といった議論もあるようですが、彼はその意匠も絵の具の材料も誰とも約束せず、自由に製作していたのでしょう。しかし、版画として販売するので納期やら価格では約束を守らざる得なかったところもあるのでしょう。

 本稿では、そうした中間的なところは話題から外し、一品生産を含めて「決まり事を定め、それを守って繰り返しつくること」の中の4M管理を中心にIoTを使ってどう高度化していくか、ということ論じていきたいと思います。