石川誠二の診断士日記

中小企業診断士の雑記帳です

先端設備導入計画の延長と適用拡大

 中小企業の設備投資を支援する法律に生産性向上特別措置法というものがあり、その中で先端設備導入計画を提出すると一定期間、固定資産税の減免が受けられる、というものがあります。

 この計画は昨年までものづくり補助金の加点項目になっていたので、補助金申請とセットで活用していた事業者さんが多いようです。

 本年からものづくり補助金の加点項目から外れ、この制度の期限がR2年度までということもあり、注目されることが少なくなっていた感があります。

 しかし、昨今の新型コロナ禍で低迷する景気を刺激しようということなのでしょうか、申請期限の延長と減免範囲の拡大が5月1日に発表されました。また6月に入って関連する資料や策定の手引きが中小企業庁から発表されています。

中小企業庁:経営サポート「生産性向上特別措置法による支援」

 ここでは改正点を踏まえ、この制度をまとめておきたいと思います。

(1)概要

 中小事業者が先端設備の導入を図ることで一定期間労働生産性を3%以上向上させる計画を設備を設置する市区町村に提出することでその間の固定資産税の減免等の支援が受けられます。

 減免率は多くの市区町村で全額減免(税率0)です。また一定期間」も3年から5年の間で市区町村が定めることになっています。一部でこの制度を取り入れていない、あるいは減免率50%の市区町村があるので必ず設備を設置する市区町村の取組状況を確認する必要があります。

(2)先端設備とは

 先端設備というと大企業が所有するような自動化された最新設備を連想しがちですが、そういう訳ではなく、販売開始から10年以内のものであって、旧モデルより設備の生産性の指標が1%以上向上していれば大丈夫です。これは設備メーカーに工業会から認定を取得してもらいましょう。但し中古品は除外されます。また取得価格が300万円以上の設備が対象で、リースでも対象になります。

(3)新たに建物や構築物も追加

 従来は設備のみが固定資産の減免対象でしたが、今回、建物や構築物も減免の対象として追加されました。

 建物に関しては先端設備を設置した建物に限ります。これも新しく建てたものに限られ、既存の工場に設置した場合、既存の建物の固定資産税が減免されるものではありません。建築確認証の提出が必要になるようです。

 構築物とは中企庁のHPには塀、広告塔、受変電設備など、と記載されています。

(4)期間が2年間延長

 R4年末まで延長されました。これから工場の拡張、移転をお考えの場合でも間に合います。新型コロナ禍で新規投資は躊躇される方も多いとは思いますが、うまく活用できれば建物の固定資産税の減免はメリット大きいと思います。