石川誠二の診断士日記

中小企業診断士の雑記帳です

ものづくりIoTと4M管理(3)

前回は「ものづくり」についてこのブログなりの定義をしてみましたが、今回は「IoT」について、私なりに定義してみます。

IoTはモノのインターネット化とか言われていますが、それで意味が分かる人はまずいないでしょう。しばしば使われているので何となくわかったような気がしている、どうもネットワークを介して情報を処理して便利なことが実現するらしい、くらいに感じている方も多いと思います。

 一方でIT(Information Techonology)という言葉も以前からありました。工場の情報システムの担当者の中には、IT化を進めろと言われていたけど、今度はIoTかよ、言葉が違うだけでやることは一緒なんじゃない?と思う方もいらっしゃるでしょうし、逆に幹部に何が違うんだと聞かれて困ってしまう方も多いかと思います。

 IoTも「ものづくり」のようにこのブログを書き進めていくうえで読み手の方と同じ土台を持っておきたいと思います。

 ここでは

 IoTとは、センサやカメラなど情報を自動的に取得する手段からネットワークを介

 して収集し、収集した情報を処理をして活用を図ること

 としておきたいと思います。

 自動的に取得」と書きましたが、その反対は「手入力でしょうか。例えばキーボードで生産した製品の情報を入力する場合はIoTとは呼ばない、としておきたいと思います。バーコードリーダーを手で扱って製造番号を読み取る場合は、すこしグレー感がありますが、製品IDは「自動的に」読み取れるのでIoTと呼ぶこととしたいと思います。

 また「ネットワークを介して」としましたが、これは「離れた場所で」と言い換えても良いかもしれません。センサで得た情報をその場で処理をして活用している例としては、様々な自動機があります。

 「情報を処理をして」としましたが、その処理内容や処理手段は時と場合によって様々です。処理手段はもうパソコンとは限りません。スマホかもしれませんし、回路基板1枚かも知れません。

 「活用を図ること」は処理した結果を出力して実際に役に立たせるということです。出力先は人の場合もありますし、機器に直接処理結果を渡し自動で制御する場合もあるでしょう。出力先が人であっても設備であってもここではIoTと呼びたいと思います。近年、人工知能、いわゆるAIの進歩によって人の判断を機械にやらせよう、という流れが始まっていますが、AIはIoTの必要不可欠な構成要素ではありません。ただAIの定義がこれまたいくつかあり、そこまで話を広げると混乱するので、とりあえず処理された結果の出力先は機械でも人間でもよい、という形で進めたいと思います。

 IoTに関する記事なり書籍を読むと「サイバーフィジカル」という言葉が出てくることがあります。「サイバー」の部分はこの定義でいう「センサやカメラなど情報を自動的に取得する手段」を言い、「フィジカル」の部分は「収集した情報を処理をして活用を図ること」に相当します。そして「サイバー」と「フィジカル」をつなぐものがネットワークだと考えたいと思います。

 最後にITとの違いですが、ITはIoTを含む、とも言えます。様々なセンサが進化し、ネットワークの能力も上がってITがIoTに進化したのであって、実現しようとしていることはITもIoTも同じだよ、という主張があっても、もっともだと思います。ただ、本ブログでは今まで行ってきたIT化と現在進めている、あるいは今後、進めようとしているIoT化の違いを強調するために、

 ITとは

 人手で入力した情報をその場で、あるいはネットワークを介して収集し、その情報を

 処理して活用を図ること

 としたいと思います。

IoTとの違いは入力手段を人手としていること、ネットワークは必ずしも構成要件としなくてもよいこと、の2点です。パソコンの表計算ソフトに情報を打ち込んでもIT化っていいますよね。そのイメージです。

 IoTを進めればパソコンに向かっていろいろ打ち込む面倒な作業とはおさらば、いわばITは過去のもの、とお考えになっているとしたら、「それは違うよ、ものづくりIoTにおいてはパソコンに向かっていろいろ情報を打ち込まないとなかなかシステムは動かないよ」、言い換えると「パソコンに向かって打ち込めた内容に関するものしかシステムは動かないよ、だから無理なく入力できる事柄を選んでIoT化を進めようよ」というのが本ブログの主張になります。

 そこを説明しやすくするための定義と思ってくだされば結構です。

 次回から4M管理に話を移していきたいと思います。