石川誠二の診断士日記

中小企業診断士の雑記帳です

事業承継補助金について

日本の産業構造において中小企業が減少し続けていることは大問題です。社会の活力の面からも雇用確保の面からもマイナスの影響を与えます。これに関する行政側の問題意識の大きさは、たとえば経済産業省のホームページのトップページにあるリンク先に、キャッシュレス・消費者還元事業、外国人材、韓国向け輸出管理運用見直し、といった今時のトピックスに並んで事業承継のキーワードが並んでいることからも窺えます。

 この中小企業の事業承継に関しては様々な施策がとられていますが、これから何回か主要政策の一つである事業承継補助金に関して書いていきたいと思います。

 今年度は2回募集がかかり、1次公募では710件の応募があり、523件の採択(内2件辞退)、2次公募では329件の応募があり、135件の採択(内1件辞退)がありました。

 以下、本年実施の2次公募の公募要領を見ながらまとめていきます。50ページもありますから読み下すのはちょっと大変。

https://www.shokei-hojo.jp/docs/pdf/h30_application_guidelines.pdf

ちなみに本年実施の公募は予算措置としては平成30年度補正予算ですので、検索エンジンなどでは平成30年度補正といったキーワードがついてくることもあります。慣れないと令和元年の資料を探したりしてしまいますが、それは来年度の話です。また、予算規模、実施形態は年度ごとに変わる可能性があります。

 応募する際2つの類型に分類されていて、Ⅰ型は後継者承継支援型として、後継者の交代を機会に経営革新に取り組む者などを対象にします。先代が傾けてしまった企業を後継ぎが立て直す場合もここに含まれます。しかし、法人の場合、単なる事業譲渡や株式譲渡による承継は対象となりません。Ⅱ型は後継者不在の場合、事業統合や再編を行わなければ事業継続が困難な場合、その統合・再編を機に経営革新を取り組む者を対象にします。

 補助額は類型Ⅰ、Ⅱで異なります。

 類型Ⅰで小規模事業者の場合、補助率は2/3以内で100万円以上200万円以下、在庫処分や解体処理が発生する場合は300万円までの上積みが可能です。小規模事業者以外の場合は補助率は1/2以内で100万円以上150万円以下、上積みは225万円まで認められます。ここでいう小規模事業者とは製造業や宿泊業・娯楽業では常時使用する従業員20名以下、それ以外の商業・サービス業では5名以下です。常時使用しているのならばパートさんもカウントします。

 類型Ⅱでは、審査結果が上位の者に対し、補助率2/3以内で100万円以上600万円以下、在庫処分等に対する上積みは600万円まで認められます。それ以外の者に対しては補助率1/2以内で100万円以上450万円以下、上積みは450万円まで認められます。またⅡ型に関しては原状回復費・移転移設費も上積みとして認められます。

 申請に必要な手続等、具体的なお話は次回以降に続けます。