石川誠二の診断士日記

中小企業診断士の雑記帳です

ものづくりIoTと4M管理(9)マスターデータの データベース化のメリット

前回、マスターデータとモニターデータの中身について説明しました。今回は若干の繰り返しになりますが、マスターデータをデータベース化するメリットに関して説明したいと思います。

 マスターデータは、作業者の名簿やら設備の仕様、購入時の記録など、もともと文書で管理されていることが多いものです。それらをデータベースに入れて検索しやすくして、再利用、加工しやすくするものです。したがって、データベースに入力する際には人手入力に頼らざるを得ないところがあります。

 もちろん、機械の図面や仕様、部品の図面や仕様など、もうメーカーさんとネットワークを介してやり取りして人手入力を廃した会社もあるかもしれません。それは人手入力の手間を省くために一定の投資をしてIT化を進めた結果ですね。

 中小企業の場合、そうした投資の余裕もないし、書類をベースにした仕事の仕方で特に困らないよ、というところも多いと思います。ホントに困らなければ、別に書類ベースの仕事で良いと思います。実際、かなりの仕事はIT化、IoT化しなくても回ると思います。時流だからとってシステムベンダーの言われるがままに導入してもお金のむだです。ただ後の回でいくつか事例を示しますが、こうしたマスターデータの管理がおろそかになっていたために、極めて厳しい批判にさらされた会社もあります。中小企業の経営者の方々には、できるところから始めていただきたいものです。

 現実問題として、一度データベースにデータを入力したら、そのデータを使った書類には自動的にその入力項目が反映されていた方がうれしいですよね。以後の記載ミスも減りますし、手間が削減できます。こういうメリットが見えれば手入力もしようということになるかもしれません。

 例えば、

 設計の方が使用する部品を決めて購買にその部品番号を伝える、購買がいくつかの部品メーカに問い合わせたら同等のものが低価格で入手可能なのことが分かったので、その新しい部品番号を設計に伝える、設計はその同等品の採用を決めて他の部品と併せて部品の一覧表を作成する、

 よくある設計と購買のやり取りです。

手作業ならば何回となく部品番号をメモしたり、書類に記入しなければならないでしょう。働き方改革が言われる中、その手間も大変ですし、その間に勘違い、下記間違いも発生するかもしれません。こうした業務はその処理の流れに沿って定型化できます。この定型化したものをワークフローと言います。ワークフローに関しては詳しく述べると大変な分量となりますので、ここでは割愛します。一度入力したデータをワークフローに沿って活用できるようにする、あるいは活用できるようにワークフローを整備する(仕事を定型化する)。IT化のメリットはこのワークフロー整備による入力したデータの再利用容易化、といっても過言ではありません。

 次回はIoT化を進めるための前提としてIT化が必要な理由を説明していきたいと思います。