石川誠二の診断士日記

中小企業診断士の雑記帳です

事業承継補助金について(3)

今日は事業継承補助金の申請に当たって準備すべき書類についてみていきたいと思います。これまでの2回と同様に今年度の公募要項に従って纏めます。繰り返しになりますが、年度によって準備すべき書類が変わる可能性もありますので、実際に申請するときは、都度、中小企業庁のHP等で手続を確認することが重要です。

 ここでは事業形態が法人で、かつ継承者が存在してその方に事業を継承する場合についてみていきます。

 1.応募する事業者がきちんと事業を行っていることを示す書類。これは必ず提出しなければなりません。

「履歴事項全部証明書(発行から 3 カ月以内のもの)」、 「直近の確定申告書」と 「直近の決算書(貸借対照表損益計算書)」を必ず添付すること。

2.住民票

三カ月以内に発行されたもの。被継承者と継承者の両方。外国人の方は在留期間、在留資格等の記載が必要になりますので申請時には良く要項をお確かめください。

3.後継者が申請資格を有していることを示すもの。(1)から(3)のいずれか一つ。

(1)3年以上の経営経験を有している者

該当する会社の履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書(3カ月以内に取得)

(2)同業種での実務経験を有している者

経歴書、在籍証明書等

(3)創業・承継に資する研修等を受講した者 (下記のどれか)

 ・産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けた証明書 

 ・地域創業促進支援事業(平成 29 年度以降は潜在的創業者掘り起こし事業)を受けた証明書

 ・中小企業大学校の実施する経営者・後継者向けの研修を履修した証明書

4.承継に関する書類

・履歴事項全部証明書( 3 ヶ月以内に発行されたもの)

・直近の確定申告書〔表紙(税務署受付印のあるもの*1)及び別表4(所得の簡易計算)〕 ⇒表紙に受付印がない場合、「納税証明書〔その 2〕(所得金額の証明書)」を追加で提出。 

・直近の決算書(貸借対照表損益計算書) 1 期目の決算書が確定しておらず、前身となる関係会社がある場合には関係会社の決算書でも可 

5.審査際の加点事項に相当する場合、それを証する資料

・債権者調整プロセスを経て、各プロセスの支援基準を満たした債権放棄等の抜本的な金融支援を含む事業再生計画を策定した場合、それを証 する書類 

・「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けていることがわかる書類

・経営力向上計画の認定を受けている場合は認定書及び申請書類、経営革新計画の承認書

・申請者の所在する市区町村及び近接する市区町村地域への売上規模、又は申請者の所在する市区町村及び近接する市区町村以外の地域への売 上規模がわかる資料等 

・地域おこし協力隊員の身分証明書 

6.補足説系資料

A4で10ページ程度で2MBのデータ容量であること。事業継承する際に発生する費用の内容を説明するとともに、それによってどのような事業展開をしていくのか説明する資料。また、ビジネスコンテストの受賞実績がある場合は、その内容と受賞したことを証する書類を添付すると良いでしょう。

 

結構ありますね。個人事業種の方は1.の書類は、「税務署の受領印が押印された確定申告書 B と所得税青色申告決算書の写し」 で申請できます。また特定非営利活動法人の方も「直近の確定申告書」、「直近の決算書(貸借対照表損益計算書)」及び「履歴事 項全部証明書(発行から3ヶ月以内のものを準備すれば申請できます。

 

必要な書類は少々手までも淡々と集めればよいのですが、最後の補足説明資料はしっかり記載する必要があります。第1回目の記事にも記載しましたが、申請者全員に補助金が認められるわけではありません。つまり、選考プロセスを経る訳ですので、わかりやすくインパクトのあるものでなければなりません。導入する設備のパンフレットを貼ってこれを使います、だけでは物足りません。

 

これは補助金を出す側の立場になって考えてみればわかりやすいのですが、補助金は税金です。ですから誰が見ても妥当だな、と思ってもらえる必要があります。極端な話ですが、いい加減な記載でインパクトも期待できない申請に補助金を交付してしまった場合、国会で経済産業大臣が追及されることだってあり得るのです。逆に、そうしたことがないように書類を揃え補足説明資料を纏めることが補助金獲得のコツと言えるでしょう。

 

次は、補足説明資料を纏める上で留意する点について纏めます。

事業承継補助金について(2) - 石川誠二の診断士日記

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