石川誠二の診断士日記

中小企業診断士の雑記帳です

事業承継補助金について(2)

事業承継補助金に関して続きを書きます。

引き続きH30年度予算の公募ガイドラインに従って纏めてみます。

事業承継補助金に限らず補助金に応募するのに意外と重要なのがタイムスケジュールです。一年中公募がかかっているわけではありませんし、この補助金の場合は事業を承継したタイミングも重要になってきます。そこで本年度(H30年度第2次補正予算)のスケジュールを見てみましょう。

 まず、事業承継のタイミングですが、2016年4月1日から2019年12月1日に事業を承継した会社に限定されます。3年前まで遡れるので、事業承継したけれどももう一つうまく回らない、といった場合に活用できます。

 一方で事業を承継する者が2019年12月1日の段階で3年以上の役員経験を持つ(自社/他社問わず)か、同業種で6年以上継続して雇用されている必要があります。こうした経験がない場合は、中小企業大学校が設置する経営者・後継者向けの研修を受講するなどの要件を満たせば対象になります。

 後継者が研修を受けるというのも中々時間の都合で難しいものがあるでしょうから、承継する方の経験が不足していると応募は難しいかもしれません。

 また過去に事業承継補助金第二創業促進補助金などいくつかの補助金を受けた事業者は補助の対象から外されますので注意が必要です。

 公募のスケジュールは、3月の末に詳しい情報の開示が行われ、四月の半ばころから受付が始まり、5月の初旬に締め切られます。GWの休みのことを考えると、4月末までに応募した方が良いでしょう。そして審査の後、7月の中旬に交付決定がなされます。補助事業期間は12月の末までで、ここまでに導入した設備は完成させ、社屋を改装する場合は工事を完了させなければなりません。また支払いも完了させる必要があります。その後完成報告を行い、2月末までに確定検査を受けます。補助金の支払いはその後になります。完成報告を先延ばしにすると、補助金の支払いが遅れます。

 また急いでも業者への支払いから補助金の支払いまで1カ月以上はかかると思った方がよいので、金融機関とつなぎ融資の相談を予めしておくと良いでしょう。

 設備や工事の発注は7月中旬の交付決定後にしなければなりません。補助事業終了は12月末ですので5カ月半以上かる工事や設備の購入は補助の対象になりません。見積書をとる段階で業者の方と良く詰めておく必要があります。

 来年度はどうなるかまだ分かりませんが、補助金活用を考えておられる場合はこの年末から工事業者、設備メーカの方とか金融機関と相談を始めておくと良いと思います。

 

事業承継補助金について

日本の産業構造において中小企業が減少し続けていることは大問題です。社会の活力の面からも雇用確保の面からもマイナスの影響を与えます。これに関する行政側の問題意識の大きさは、たとえば経済産業省のホームページのトップページにあるリンク先に、キャッシュレス・消費者還元事業、外国人材、韓国向け輸出管理運用見直し、といった今時のトピックスに並んで事業承継のキーワードが並んでいることからも窺えます。

 この中小企業の事業承継に関しては様々な施策がとられていますが、これから何回か主要政策の一つである事業承継補助金に関して書いていきたいと思います。

 今年度は2回募集がかかり、1次公募では710件の応募があり、523件の採択(内2件辞退)、2次公募では329件の応募があり、135件の採択(内1件辞退)がありました。

 以下、本年実施の2次公募の公募要領を見ながらまとめていきます。50ページもありますから読み下すのはちょっと大変。

https://www.shokei-hojo.jp/docs/pdf/h30_application_guidelines.pdf

ちなみに本年実施の公募は予算措置としては平成30年度補正予算ですので、検索エンジンなどでは平成30年度補正といったキーワードがついてくることもあります。慣れないと令和元年の資料を探したりしてしまいますが、それは来年度の話です。また、予算規模、実施形態は年度ごとに変わる可能性があります。

 応募する際2つの類型に分類されていて、Ⅰ型は後継者承継支援型として、後継者の交代を機会に経営革新に取り組む者などを対象にします。先代が傾けてしまった企業を後継ぎが立て直す場合もここに含まれます。しかし、法人の場合、単なる事業譲渡や株式譲渡による承継は対象となりません。Ⅱ型は後継者不在の場合、事業統合や再編を行わなければ事業継続が困難な場合、その統合・再編を機に経営革新を取り組む者を対象にします。

 補助額は類型Ⅰ、Ⅱで異なります。

 類型Ⅰで小規模事業者の場合、補助率は2/3以内で100万円以上200万円以下、在庫処分や解体処理が発生する場合は300万円までの上積みが可能です。小規模事業者以外の場合は補助率は1/2以内で100万円以上150万円以下、上積みは225万円まで認められます。ここでいう小規模事業者とは製造業や宿泊業・娯楽業では常時使用する従業員20名以下、それ以外の商業・サービス業では5名以下です。常時使用しているのならばパートさんもカウントします。

 類型Ⅱでは、審査結果が上位の者に対し、補助率2/3以内で100万円以上600万円以下、在庫処分等に対する上積みは600万円まで認められます。それ以外の者に対しては補助率1/2以内で100万円以上450万円以下、上積みは450万円まで認められます。またⅡ型に関しては原状回復費・移転移設費も上積みとして認められます。

 申請に必要な手続等、具体的なお話は次回以降に続けます。 

中小企業とBCP(事業継続力強化計画)(4)

以前、事業継続力強化計画に関してここで説明しました。災害発生時に中小企業がとるべき行動と日頃から減災に向けてできることを纏めておこうという計画です。

今日はその続きです。

この計画を各地方の経済産業局に提出され承認されると、その企業名が中小企業庁のホームページに掲載されます。先日、そのリストが更新されました。

中小企業庁:事業継続力強化計画

リンクを貼ったページの中段付近に認定企業のリストがあります。

また、その上には月別、都道府県別の認定企業数が公開されています。

これをみると、例えば神奈川県では

8月 1件、9月 7件、10月 51件 計59件となっています。

10月になって急増しているのは、昨今の風水害で危機感をもった中小企業が申請を始めた、とも考えたくなりますが、おそらく違います。審査にひと月半ほどかかるので、10月に認められた案件は9月中ごろまでに提出されたもので、風水害の時期より微妙に早い。

 どうやら、この時期、ものづくり補助金の2次募集の締め切りがあり、その審査において事業継続力強化計画を提出すると加点がもらえるので、それをねらったもののようです。以前にも書きましたが補助金目当てというのも少し違うとは思いますが、ともかく補助金が切っ掛けでもよいから、防災、減災に取り組んでほしいという行政の意図だと思います。

 これを提出していない企業の防災意識が低いわけではないでしょうが、一度、この申請書の書式に沿って纏めてみると抜け漏れもにも気が付くと思います。またこの計画に基づいて購入した設備等には20%の設備償却もあります。こうした税金面での措置などのメリットはもう少し思い切ったものでもいいのかなとは個人的には思います。いつ使うか分からない発電機や止水板を倉庫に眠らせる余力のある中小企業は少ないでしょう。

 そうした点はありますが、この秋の風水害の報道を見聞きするたびに、もう少しこの制度が知られていてもいいのにな、とは思います。

 神奈川県の場合、まだ認可事業者数が二けたは少ないですよね。

読書日記(5) 韓非子 組織サバイバルの教科書

読書守屋淳さんの本です。
 久々に300ページ超の本を一気に読みました。面白かったです。備忘録を兼ねてこのブログを書いています。
 韓非子については、この本を読む前までは中国の春秋戦国の時代に厳しい法律を以て国を治めることが重要と説いた法家の一人で、秦の始皇帝が皇帝になる前に自らを売り込んだけれど、権力争いに巻き込まれ殺されてしまった、くらいの知識しか持っていませんでした。
 守屋さんの本の中では、そうした韓非子の考え方、思想を儒教の考え方と対比して分かりやすく解説してくれました。
 そもそも孔子韓非子の間には200年以上の時代の差があり、その時代背景が全く違うとのこと。孔子の時代は、会社に例えれば、「業績は悪化して社内の雰囲気もいいとはいえませんが、創業当時の精神を取り戻せば、今からでも十分立て直せます。」という時代。韓非子のころになるといよいよ悪くなって「そんな牧歌的な時代は終わってしまった。」時代ということです(p77)。
 そういう時代に韓非子は人を信じても裏切られるので、法をもって組織が永続する仕組みを作ることが重要と説いたわけです。
 そして人は利によって動くものだから賞罰が大事、そこにはお世話になった方だからとか年長の親族だからといった儒教的な上下関係は入り込む余地はないと考えたのでした。
 守屋さんによると、韓非子始皇帝のところに売り込みに来たのは、始皇帝の母親と浅からぬ仲にあった呂不韋が宰相として権力を持っていた時代に重なっていて、儒教的な価値観では呂不韋に頭が上がらないことになってしまう、これでは国は治められない、ということで韓非子を重用しようとしたという説明は大変説得力がありました。
 賞罰を法により行うにも、国という組織になれば全部を主君が行えるかけでもなく、担当する部下を置くことになります。そうすると当然、実際に賞罰を行うものに派生的な権力が生じます。韓非子はそれに対しても答えを用意しています。それを「術」と呼んでいます。法が表であれば術は裏。家臣の暴走、結託を押さえるための手段です。韓非子は7つの術が必要と言っています。以下は守屋さんの訳(p191~192)。
1.部下の言い分をお互いに照合して事実を確かめること
2.法を犯した者は必ず罰して威信を確立すること
3.功績を立てた者には必ず賞を与えて、やる気を起こさせること
4.部下の言葉に注意し、発言に責任をもたせること
5.わざと疑わしい命令を出し、思いもよらぬことをたずねてみること
6.知っているのに知らないふりをしてたずねてみること
7.白を黒と言い、ないことをあったことにして相手を試してみること
少し家臣が口裏合わせをしようとも、こう揺さぶられてしまえばぼろが出ます。また現代の経営者が「韓非子」は経営の役に立つ、と公言したらちょっと嫌われそうな内容です。ですから、韓非子は実際経営者には読まれているけれど、読んでいることを口外しない本だということです。
 また、一番驚いたことですが、上記の4.にも関連するのでしょうが、刑名参同という考え方です。刑は形の字を使うこともあるようです。これは、「部下の悪事を防ごうとするならば、トップは部下に対して「刑」と「名」、すなわち申告と実績の一致を求めなければならない」という考え方です(p126)。まさに現代の目標管理です。少し違うのは、申告より大きな成果を出しても処罰の対象になるとか。これは私の感想ですが、この場合の申告は自分の職能定義のようなものではないか、と。こう考えて自分の中では納得しています。
 このような韓非子の考えに基づいて法を整備した秦ですが、始皇帝没後、あっけなく崩壊します。韓非子の考えた組織が永続する仕組みはできなかったわけです。ただ、韓非子には「相手の地位にこだわって、さまざまな情報を突き合せず、寵臣一人だけを情報源としている。このような君主は我が身を滅ぼす。」という指摘があります(p188)。まさに秦の二世皇帝胡亥は、宦官の趙高ひとりに家臣との窓口役を任せてしまったため、身を滅ぼしたのです。法はあっても術が伴わなかったのですね。
 また「逆鱗」という言葉も韓非子のなかの言葉だそうです。いかなる君子でも触れてほしくないことはある。家臣の一人として法と術による国の統治を提言する立場でも、そういうところに触れてしまえば提言が用いられないどころか、命を失うことになる。そういう意味だそうです。現代のコンサルタントとは覚悟が違います。いろいろと考えさせられた本でした。

ラグビーワールドカップ雑感(2)

今日は盛り上がっているラグビーW杯のチケットに関して

 

実際にチケットを買おうとした方は目にとめた方も多いと思いますが、いわゆる転売サイトで売られているチケットが議論の的になっています。

元々はこうした注意喚起情報です。

www.kokusen.go.jp

 これは国民生活センターが今年の2月に公表したもので、今年6月から施行された、いわゆるチケット転売禁止法を踏まえた注意喚起です。そしてここにあるリンク先にリストアップしてある業者から購入した場合は、「入場できない」と明記してあります。

 そうした業者は検索エンジンでトップに表示されるようにしていたり、SNSで頻繁に広告をうっていたりしていたため、知らずに購入してしまった方が多数でてしまい、一時、国民生活センターの相談の過半数がこの案件になってしまったとか。

 チケットの転売はいわゆる反社会勢力の資金源になったり、本当に欲しい方に行き渡らなくなるといった問題があり、東京オリンピックを前にその禁止法が施行されたのだと思います。

 しかし、ラグビーW杯に関してはタイミングが悪すぎました。すでに数次の公式販売も済みチケットが大量に出回って転売サイトも盛んに広告を打っていた時期です。しかも転売サイトの多くは海外に拠点を置くため、国内法がどう適用されるのか素人には判断つきません。そうした状況で、「そこで買ったチケットでは入場できません」という発表ですから混乱が起きます。

 で、実際はどうだったのか。

 事前には、入場の際に本人確認をして本人と確認できない場合は入場できないことがある、とアナウンスしていましたが入場の際は本人確認はありませんでした。これは私の体験談です(もちろんチケットは公式サイトで購入しました)。

 そして入場の際には持ち物検査と2次元コードのスキャンだけで入場です。この手続きだけですから、購入元は中々判断できないのではないのでしょうか。2次元コードでの読み取りの場合、読み込んだデータをもとにデータベースを参照に行ってそこで何万件もあるデータを参照して転売されたものかどうか判断してその場でレスポンスするのは技術的に難しいと思います。Suicaに使われているFelica方式ならできるかもしれませんが。

 なんで本人確認をしなかったのか、ちょっと分かりませんが、単に入場の際に時間と手間がかかる、ということだったら、テロ対策等別の面から疑問もあります。

 そして実際にネットでは、普通に入場できたという「体験談」が多数あります。ただ、新聞報道などでは実際に不正チケットとして判断されて入場できなかった方も一定数いたとか。

 ここからは周囲の方から伺った情報やネットでの情報をもとにした推測になりますが、「不正」には2種類あるのではないかと、一つは販売サイトとして公式ではないよ、という意味での不正。もう一つはチケットの偽造という意味での不正。偽造されたチケットの場合、2次元コード自体があり得ないとして、その場ではじくことは可能です。

 整理すると、転売サイトで購入したチケットの中には偽造されたものが紛れ込む可能性があるので、入口で入場お断りになる可能性がある。しかし、偽造されていなければ、そのまま入場できる、というところでしょうか。

 ただ、問題はまだ続きます。偽造チケットをつかまされた方は詐欺にあったわけですから、転売サイトに返金を求めるなり、出品者を訴えることが出来ます(相手が応じるかどうか、また気持ちが収まるかはともかく)。しかし、偽造でないチケットを入手していた場合は、それで実際に入場できるわけですから、公式の価格より高かったとしてもなかなか払い戻しは難しいようです。また価格の問題ではなく、そもそも入場できないと思い込んで諦めてしまった人もいたでしょうから、ちょっと罪作りな話です。

 予選リーグが進んで決勝トーナメントにいくと別の問題が出てきます。それは予想した日程にひいきのチームが来なかったとき。日本も予選1位抜けすれば相手は南ア、2位抜けならニュージーランドで試合日程も試合会場も違いました。

 そういう時、チケットが交換出来たらなあ、というのは自然な感情で、実際外国(といかアイルランド)から来られた方とチケット交換を望む方は多かったようです。ネット上ではどこぞのアイリッシュパブではそういう方が多くいるので交換できるぞ、みたいな情報が駆け巡っていました。

 もちろん、そこでも不正チケットを掴まされる可能性はあります。表向きには公式リセール窓口があるので、そこでリセールに出して新たに入手してください、ということになっていますが、日本戦の準々決勝のチケットなど公式リセール窓口で簡単に買える訳がありません。私もトライしましたが、ログインすらできなかった。おそらく昼間普通に働いている人には無理(笑)。

 実際に日本と南アの試合のスタンドを見て、本当に日本の予選1位抜けを予想してあんなにたくさんの方が事前にチケットを買っていたのかなあと、いう思いがよぎりましたが、まあ大会運営側も日本ラグビー協会も、もうそこは突っ込まないでしょう

 今後は、転売とひとくくりにせず、公式チケット交換の仕組みを整えて欲しいものです。

 なんで今更こんなことを言っているかというと、実は来年のオリンピックの野球のノックダウンステージのチケットが当たったのですが、日時指定であってどことどこの試合かは分からない。やっぱり日本が出る試合見たいでしょ。

 

 

 

ラグビーワールドカップ雑感

ラグビーが熱いですね。

私はラグビーのプレー経験はありませんが、学生ラグビー華やかな頃に旧国立競技場で観戦して友人たちと楽しんだ記憶があります。まあその後のお酒飲むのが目的でしたが。

 その後何年かしてワールドカップニュージーランドに記録的大敗。っていうかいまだに失点記録ですよね。

 あれで、井の中の蛙を悟って世の中も一気に熱が冷めたというかもう見放したという感じでした。私もその後しばらくラグビーの試合があっても見向きもしませんでした。

 そして4年前、夜中に何気なく見た南アとのW杯戦。前評判をものともせず勝ちにこだわって実際に勝利を手にした彼らに目頭を熱くしました。見放していてごめんなさい、と思ったものです。

 昨今のラグビーの盛り上がりの中には、程度の差はあれ同じような思いをしている方も多いのではないでしょうか。

 

 前置きが長くなりましたが、ブームの中でもマスコミであまり語られていない面から少し書いてみたいと思います。

会場に行く途中、公式の売店が広場などにありますが、それとは別に「しぇんえん しぇんえん」と少し日本語が怪しい方々がスカーフを路上で売っていたりします。

 このスカーフ、対戦チームのカラー、シンボルなどが半々にプリントされています。例えば昨日27日の準決勝の試合は、ウエールズ南アフリカですが、ウエールズの赤と南アフリカの緑が半々でそれぞれ国名などが描かれています。良いお土産になるので、ちょっと胡散臭いと思いつつ私も買い求めました。売れ行きも中々のようです。何せスタジアムに向かう道は人が溢れかえっていて、お祭り気分で財布の紐も緩んでます。

 改めて考えてみると、これって作るの大変ですよね。予選ならいざ知らず、決勝トーナメントの対戦相手が決まるのは1週間前。中5日か中6日です。

 各チームの半分づつのデザインは予め決めているとして、組み合わせて全体のデザインを決めてプリント、袋詰めにして会場まで運搬。具体的な手間や工程は良く分かりませんが、結構タイトなスケジュールでしょう。

 でも、お金を儲けるというモチベーションがあれば少々日程がきつくても頑張る。会場近辺でそうした商品を売っている方々の背後にプリントを引き受けた中小企業の方々の頑張りも透けて見えてなんだか刺激を受けました。

 それに引き換え、公式グッズの準備は頂けません。日本代表の試合などで会場を埋め尽くす赤白のジャージは公式ショップは言うに及ばず全国の店頭でとうに姿を消し、アマゾンなどのオンラインショップでプレミアがついて売買されています。定価は1万4千円くらいですが、今現在、2倍半くらいの値がついています。需給見通しを誤ってしまったのは仕方ありませんが、大会期間が1か月以上あるのに補充なしのようです。

 ちょっと「しぇんえん、しぇんえん」とスカーフを売る彼らのバイタリティを見習ってほしいなと。ちなみに3位決定戦は中4日。彼らの作業は今頃どこまで進んでいるのでしょうか。

 

 別の機会にチケットをめぐる雑感も書いてみたいと思います。

 

読書日記(4) 倒産の前兆

 帝国データバンク 情報部が30社の倒産事例を纏めその原因を解析・類型化した本です。サブタイトルは「30社の悲劇に学ぶ失敗の法則」というものです。

 格安スマホブランドのFREETELで一世を風靡したプラスワン・マーケティング郵便はがき印刷シェア100%のトキワ印刷などの倒産に至った事例が書かれています。これらの会社の沿革、ピークを迎えたときの状況、そして転落の切っ掛けが業界の概況と共に簡潔に纏められており、さすが帝国データバンク、と思わせるに十分な内容でした。

 本書では、破綻の公式という形で8つの類型に分類して事例を紹介してくれています。ただ、サブタイトルにある「失敗の法則、というと戸部良一の「失敗の本質」を連想してしまいますが、本書は事例集的なものであって、失敗の法則を理路整然と解析していく、といったものではありません。その意味でサブタイトルはもうちょっと考えてほしかったなあ、というのが読んだ後の感想でした。

バブルの終焉、リーマンショックといったものは日本の企業に等しく降りかかりました。それを乗り越えた会社と乗り越えられなかった会社の差というのは単に会社に危機を乗り越える体力があったかどうかという表面的な問題ではなく、経営者が危機に対して誠実に向き合ったかどうかだということなんだな、と私なりに結論を付けました。

 

おやっと思った言葉

たとえば、掃除や整理整頓が行き届いていない、社用車が過度に豪華 ーこのように経営が傾いている会社には共通点があるのだ。