石川誠二の診断士日記

中小企業診断士の雑記帳です

読書日記(4) 倒産の前兆

 帝国データバンク 情報部が30社の倒産事例を纏めその原因を解析・類型化した本です。サブタイトルは「30社の悲劇に学ぶ失敗の法則」というものです。

 格安スマホブランドのFREETELで一世を風靡したプラスワン・マーケティング郵便はがき印刷シェア100%のトキワ印刷などの倒産に至った事例が書かれています。これらの会社の沿革、ピークを迎えたときの状況、そして転落の切っ掛けが業界の概況と共に簡潔に纏められており、さすが帝国データバンク、と思わせるに十分な内容でした。

 本書では、破綻の公式という形で8つの類型に分類して事例を紹介してくれています。ただ、サブタイトルにある「失敗の法則、というと戸部良一の「失敗の本質」を連想してしまいますが、本書は事例集的なものであって、失敗の法則を理路整然と解析していく、といったものではありません。その意味でサブタイトルはもうちょっと考えてほしかったなあ、というのが読んだ後の感想でした。

バブルの終焉、リーマンショックといったものは日本の企業に等しく降りかかりました。それを乗り越えた会社と乗り越えられなかった会社の差というのは単に会社に危機を乗り越える体力があったかどうかという表面的な問題ではなく、経営者が危機に対して誠実に向き合ったかどうかだということなんだな、と私なりに結論を付けました。

 

おやっと思った言葉

たとえば、掃除や整理整頓が行き届いていない、社用車が過度に豪華 ーこのように経営が傾いている会社には共通点があるのだ。