中小企業とBCP(事業継続力強化計画)(2)
中小企業のBCP策定のポイントに関して纏めておきたいと思います。
まず、自社の製品・サービスの順位付け
複数の製品やサービスを提供している場合、真っ先に復旧しなきゃいけないものは何なのか、普段から考えておくと良いでしょう。災害が起こったとき、職場に出勤できる人も限られるでしょうから、すべての生産・サービスの提供を一度に再開できるとは限りません。また、食料品や医薬品の供給に携わっている場合は、地域社会の復旧・復興の観点からも考えておきたいですね。
そして事業継続力強化計画の申請を行う際には、実際に災害が起こったときのリスクを5つの観点から洗い出すよう、指針が示されています。
(1)人員に関する影響
従業員の安全、通勤困難とそれに伴う人手不足
一人しかできない作業の有無 等
(2)建物設備に関する影響
建物や設備の破損、部品倉庫などの罹災による欠品リスクなど
(3)資金繰りに関する影響
従業員の賃金、リース代金、部品代の支払いなどの運転資金上のリスク
(4)情報に関する影響
顧客リストや受発注情報、製品の設計情報の喪失リスクなど
(5)その他
交通遮断による部品や商品の納品遅れ、サプライヤーの罹災による供給困難化
など
これらのリスクに対して、事前の対策を立て纏めることが、事業継続力強化計画の策定になるのですが、何も無理をすることはありません。
例えば、倉庫が少し老朽化しているからと言って、多額の費用をかけて免震構造の倉庫を立てなければ、事業継続計画にはならない、という訳ではありません。
地震の揺れに対する棚の転倒防止や、棚から荷が飛び出さない様に取り出し口に柵やチェーンを付けるといったことから始めればよいのです。
情報の喪失リスクに関しては、クラウドでの保管が手軽に利用できる時代ですから、それを使わない手はないでしょう。ただ、確実にバックアップできるようデータの保管先はしっかりルール化(パソコンのデスクトップ上に置かない等)しておく必要があるでしょう。
また、地域の防災マップを事務所や食堂の目につくところに張り出して、従業員の方々の注意を喚起し、通勤途上のリスクや避難場所を予めチェックしておいてもらうのも有効でしょう。
毎年、1回、避難訓練を実施して、その際に設備や建物の傷んだところを点検するなど、無理ない頻度、方法で定着化を図るとともに、継続的に実施可能で効果のある形にBCPを見直すことが重要です。
例えば神奈川県では下記のような資料で啓発と指針作成の手引きを行っています。
参考になると思います。
中小企業のためのBCP(事業継続計画)作成のススメ - 神奈川県ホームページ